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清水病院 院長  辻 健三

 

当院は昭和 38 年 5 月に故清水英詮先生によって開設されました。 入院病床 40 床でスタートし、病床数は現在 161 床となり、その他の事業として援護寮 「しらさぎ荘」(定員 20 名)、福祉ホームB型「みどり」(定員 20 名)、地域生活支援センター、大規模デイケアを運営しています。精神科病院としては大きくはありませんが、外来から社会復帰施設まで、地域のニーズに応えられるように整備してきています。

この間、多くのご支援を賜りました地域の皆様、関係者の方々に厚くお礼を申しあげます。

当院が開院した昭和38年の日本は、池田内閣の所得倍増計画の真っただ中で、経済大国に駆け上がる活力に満ちた時代でしたが、一方急速な発展に伴う過密や過疎、公害等多くの矛盾が生じていました。

精神医療では昭和25年に精神障害者に対する「医療と保護」を目的とした精神衛生法が制定され、「私宅監置から入院治療を」という考えの下に戦後の精神医療がスタートしました。入院治療の体制は整備され、治療もされずに私宅監置されていた悲惨な状況から脱出する大きな一歩だったと思います。しかし、入院が長期化し、社会復帰が進まない等の問題が生じ、一部の病院で患者さんの人権を無視した不祥事が次々と明るみに出て、社会問題となりました。その都度精神保健関係法は改正され、精神衛生法は精神保健法を経て精神保健福祉法へと改定され、法の目的も、「医療と保護」に「社会復帰の促進」「自立と経済活動への参加」「精神障害者の福祉の増進」が揚げられ、患者さんが治療や、休養のため自らの意志で入院する任意入院制度ができ、入院や処遇に不服があれば精神医療審査会に訴え審査してもらう制度も出来て患者さん本位の医療へ変わってきました。

当院にとっても精神保健福祉法を順守して運営に当たることはもっとも基本的なテーマです。月一回行われる、医療安全委員会や勉強会では、医療や医療ミスの問題ばかりではなく、法令順守、接遇個人情報等の問題を取り上げ、問題点を共有し解決を計っています。「社会復帰の促進」と「自立と経済活動への参加」は言うは易いく行うは難しい問題です。高齢化、核家族化、不況等、問題解決を難しくする要因がいっぱいです。患者さんを犠牲にしたり、家族に過重な負担をかけたりすることなく、病院、公的機関、地域社会が協力して取り組まなければなりません。しらさぎとみどりは患者様の居住施設として退院後の患者様を受け入れ生活訓練や適応訓練を行っています。地域生活支援センターは西讃保健福祉事務所と協力しながら、相談事業、訪問指導、生活支援を行っています。このように清水病院は大病院にない地域密着型の病院として頑張ってきました。最近の傾向は急性期医療や救急医療等の重視型大病院志向が精神科でも強まっていますが、清水病院は治療環境を一層整備し地域のニーズに応える姿勢を堅持し貢献していきたいと思っています。

今後ともご指導、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。